ヒップホップにおける「サンプリング」をめっちゃ分かりやすく説明するよ
「このサンプリングやばいな!」
「元ネタってなに?」
など、ヒップホップをずっと聴いてきた人にとって『サンプリング』という言葉はよく聞くものです。
ですが、ここ最近聞き始めたという人は「ん?ん?」となるのではないでしょうか。
(ヒップホップはただでさえ一般的に使わない言葉が多いですしね)
そこで、今日は『サンプリング』についてできるだけ分かりやすく書いてみようと思います。
サンプリングとは?
まずは意味から。
既存(過去)の音源から音(ベース音等)や歌詞の一部分を抜粋し、同じパートをループさせたり継ぎ接ぎするなど曲の構成を再構築することで名目上別の曲を作り出す手法のこと。あくまで曲の一部分を引用するだけなので、基本的な歌詞やメロディーラインをそのままなぞるカバーやアレンジとは別物である。
見事な説明ですね。分かりやすい。
よく、ヒップホップの曲を聴いて「これは〇〇のパクリだ!」と言う方もいますが、サンプリングは音や歌詞の”一部分”を使うことによって、新しい音楽を作ることなんです。
ちなみにですが、ダンスホールレゲエの同じリズムで様々なアーティストが歌う、リディム・トラック(リディム)とは全く違ったものです。
実際にサンプリングを聴いてみよう
説明を読むより、実際に聴いてみましょう。すぐに理解できるはずです。
僕史上最高のアクション映画、『XXX:再起動』で使われた『In My Foreign』という超ハッピーな1曲です。覚えておいてくださいね。
続いて、ロックの殿堂入りを果たしたアメリカの超有名ロックバンド、Chicagoの『Saturday In The Park』です。
どうですか!?「あっ!」ってなりませんでしたか?
この例は分かりやすいのを選びましたが、一回聴いただけでは分からないぐらいの音の入れ方があったりと、サンプリングの程度は曲によって様々です。
ヒップホップの大きな楽しみ方の一つにこのサンプリングがあります。昔、大ヒットしたソウルの曲をネタとして使ったり、こんな曲を!?と驚くようなもの使って超絶カッコいい曲を作ったりと奥がとてつもなく深いです。
(記事の最初で書いた元ネタとは、サンプリング元の曲を指しています)
サンプリングの歴史
今ではヒップホップ以外のジャンルでもサンプリングは行われるようになりましたが、始まりはヒップホップからでした。
ヒップホップにおけるサンプリングの基礎を固めたのはDJ Kool Herc(クール・ハーク)のプレーだった。
1973年、ニューヨークのブロンクスにあるボロアパートで開かれたホームパーティーで、クール・ハークは2つのターンテーブルとミキサーを持ってR&Bとファンク・ミュージックをかけながら、曲のブレーク(間奏)部分を無限にループさせるという会心の術で人々を熱狂させた。
これを機に、ハークだけでなくAfrika Bambaataa(アフリカ・バンバータ)、Grandmaster Flash(グランドマスター・フラッシュ)などの有名DJも、2台のターンテーブルを使って自分たちの好きな部分をリピートさせるプレーをした。
その後、彼らはパーカッションとベースでリズムパートを作り、その上に複数の曲の間奏を混ぜ合わせることで、より一層多彩なDJプレーを披露した。ヒップホップのループの概念を最初に刻んだハークの技術は、現在のサンプリング・プロダクションの基礎となったのだ。
たまにサンプリングの開始について、黒人たちが貧しい生活の中で音楽を作ってラップをするために見つけた手段だと話す人がいるが、それは非常に歪曲された情報だ。
サンプリングの歴史は、パーティーで人々の興味をそそるための方法として見つけ出されたDJのプレーから始まったのである。
引用:Column | サンプリングを語る by RHYTHMER – BLOOMINT MUSIC
そして、サンプリングは『サンプリング・ドラム・マシーン』と呼ばれる機械で行われるようになりました。
最初はスネアドラムなどの音を記録させ、その音を使ってドラムのパターンが作れるという機械として発売されたのですが、ある時、『楽器の演奏ごと』記録し、曲をループさせるという手法を思いつきます。
しかも、サンプリングすることによって、アナログレコードのぶっとい音を再現できるということもあって、音がキレイ過ぎない、より”現場に近いサウンド”を生み出すことに成功し、ヒップホップ好きに好まれるようになりました。
サンプリングの元ネタってどうやってわかるの?
よく、YouTubeのコメントをみていると
「これの元ネタは○○」
のような書き込みを見かけます。
実際、少し聴くだけで元ネタが分かってしまう、『イントロどんの達人』的な人もいます。
DJをやっている人や、僕が学生時代働いていたタワレコで勤めている人なんかもそういう方がいました。
しかし、今は便利な世の中になり、アメリカの曲だとサイトで曲名を入れるだけで元ネタがわかります。
www.whosampled.com
試しに、先ほどの『In My Foreign』を調べてみましょう。
検索窓に曲名を入れて…
曲を選ぶと…
『Saturday In The Park』が出てきた!
ということで、気になる曲があれば、ガンガン調べていきましょう。
また違う名曲と出会えるチャンスです。
サンプリングの仕方が面白い名曲
最後に、サンプリングの仕方が面白い名曲を紹介したいと思います。
Kanye West - Through the Wire
元ネタ:Chaka Khan- Through the fire
これ、最初気づかなかったんじゃないでしょうか。
元ネタはChaka Khanの名曲、『Through the fire』です。
それをKanye Westがサンプリングして『Through the Wire』を作りました。
タイトルもちゃんとサンプリングし、韻まで踏んでいます。
『Through the fire』を大胆に早回しして使っているんですね。これを初めて聴いたとき、「こういう使い方もありなんやなー」と驚いたのを覚えています。
実は、この曲、Kanye Westが大事故を起こして、口の中にワイヤーを入れなくてはならない程の大怪我を負ったエピソードを曲にしてます。
だから『Through the Wire』なんです。上手い!山田くん座布団1枚持ってきて!
サンプリングは面白い!
いかがでしたでしょうか。サンプリングの意味がある程度伝わりましたか?
僕は、ヒップホップから生まれたサンプリングというものが大好きです。
昔の名曲を知ることもできれば、アーティストのアイデアを感じることもできます。
まさに温故知新と呼べるものではないでしょうか。素晴らしい文化です。
これで、あなたもDopeなヒップホッパーにまた一つ近づきましたね。 何か質問などあればいつでもDMをください。 twitter.com
それでは、今日はこの辺で。
I REP MYSELF!!!